村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area24 - Stage1 〜 数を釣ることで知り得たもの 〜

2001年5月21日 港湾部シーバス

 

 

 

 

 

数を釣ることは魚の環境にとってあんまり良くないことだ。

そう言って数釣りを批判する意見もある。

かつて、毎月のように何百本と釣っていた僕はそんな批判の矢面に立っていたこともある。

というか、今でもそうなんだろう。

 

「やつはフッコ釣り師だ。」

そんな批判をあざ笑うかのように、去年はこれでもかと言うほどにランカーを釣りまくった。

で、僕は僕なりに色々と悩み、楽しみ、迷いながら、今は川の中流部で超弩級狙いなんて騒いでいるわけだけど。

 

 

でも、もしそんな釣りをやっていなかったら僕は今の技量があっただろうか。

他のスタイルでも潮やポイントの読み方、アプローチからタックルのことまで多くのことを学べる。

でも、テクニカルなスキルは決して身に付かない。

ルアーをセンチ単位でキャストし、コンマ数秒の駆け引きを楽しみむ。全てをコントロールしないと数は釣れない。

 

数釣りで覚えたスキルがあったからこそ、僕はボートも川の中流部もすぐに結果が出せたのではないかと思っている。

だからと言って、皆さんに数釣りを勧める訳じゃない。今のアングラー全員が数釣りを始めたら、ますます魚は減ってしまう。

でも、時にはそんな釣りもしてみるといいだろう。それもテーマの一つだ。

だって下手なやつには絶対に数は釣れないのだから。

 

 

 

 

常に自分でテーマを持っての釣りが楽しいと思う人が増えてきたのはすごくうれしい。

自作ルアーで挑む人、フローターで挑む人、全てはテーマ。その過程で立ちふさがる壁を乗り越えるのが楽しいのだ。

僕自身もテーマを追い求めていく過程で数を釣る必要があった。

 

 

釣りは自分勝手な遊びだ。単純に魚を虐めて遊んでいるだけである。

確かに釣った魚になぜか愛おしさを感じる不思議な感覚もあるけれども、尊敬の念を覚えることもあるけれども、本当にそんな気持ちなら釣りができない。

 

色々と建前を並べて窮屈な釣りをする必要もない。

眉をしかめて難しく釣りをすることもない。

 

湾奥をまだらに動く絶好の潮を探して2ヶ所目。

今までに体験した全ての経験が爆釣を保証した時、僕は心を解放した。

 

 

 

 

 

 

シャローに絡むストラクチャーでそれは始まった。

ルアーはMARGAY。このルアーのすごいところ。

今までにさんざんと書いてきたけど、どうもみんな使いこなせていない。

どんなルアーでも使いこなしてなんぼ。食ってくれた魚に価値はない。食わせるから面白い。

 

 

このルアーのすごいところは、ただ巻きのアクションでもなく、トゥイッチのヒラウチでも無く、ひるがえりアクションでもない。

もちろん、メガバスだから、でもない。

 

すごいのはその操作性の良さ。それだけである。

その操作性で食わす。食わすってこういうことを言うんだという釣りが思う存分できるのがMARGAYだ。

 

普通に使えば普通に使えるけど、上手に使うと他のルアーでできない芸当ができる。

97年に完成させたMARGAYのテクニック。少し忘れかけていたので思い出すように使いまくった。

まずは、その基本テク、サイドターン。

トゥイッチ後のテンションフリーの状態でルアーが横を向いている時に、そのままジャークする。すると、ルアーは潜らずに横にずれる。見た目は横向いて潜る方向に泳ぐって感じだ。

但し、左か右かどっちに行くかをコントロールするのは難しい、目で見て方向が一致した瞬間ならなんとかできる。

これで着水後から幅2mは自在に横方向の調整ができるって事。船のシェードでも岸壁のエグレでも中にルアーを送り込むことができる。

そこに入ったMARGAYは普通まず無事で出てくることはない。だいたいはシーバスに食われている。

 

 

そのジャークして起きるサイドターンの最中。リトリーブのテンションをますます強くかけるとルアーは上向きにスパイラルで回転する。半径50センチのスパイラルロール。

 

下手くそはこう言う。「ルアーが回ってしまう。」、と。

 

回るルアーは釣れないって?

 

 

 

サイドターンで台船の下に入った瞬間に、強いジャークで更にテンションを掛けましょう。

そこからスパイラルで出てこようとするMARGAY。もちろん無事でいられるわけありません。

 

 

ルアーが回るっていうのは、多くは水の抵抗感にルアーが耐えきれなくなってバランスが崩れるってこと。

勝手にバランスが崩れるルアーは3流ルアーだが、アングラーの意思に応じてバランスを崩すルアーはそう多くはない。

ましてや50センチの半径で回るルアーなんて当時はなかった。

 

 

回る最中、ルアーが完全に横を向く前にテンションを緩める。するとルアーはまた姿勢を正しく直す方向に泳ぎ始める。そのままテンションを掛けて引けば今度は反対側から回ろうとする。するとダッチロールアクションができる。

これはある一定のテンションを維持しながら早めに巻いても出る。船の際をダッチロールで誘う。

ストラクチャーからたまらず飛びついた一尾。

 

 

ストラクチャーの中での釣り。10年間掛けて覚えたヘビカバスタイルは悪いけど一つの宝物。

MARGAYをサミングしながら着水させると、必ず風下におなかを向けて横向きに着水する。

その姿勢が直るかどうかの瞬間にファストリトリーブ。するとMARGAYは自ら風下側にサイドターンを始める。

これを風上の岸壁でやる。MARGAYが船の下に消えていった瞬間にロッドに衝撃が来た。

恨めしそうにMARGAYを睨んでいやがった。

 

 

いよいよ日が暮れて薄暗くなってきた。このポイントも決して広い訳じゃない。

風表はわずか3mも無い。でも1尾見たら10尾はいると思え。これがヘビカバの群れ直撃スタイル。

もちろんどこにもいる。みんなが魚を食わせきれないだけだ。

もちろんMARGAYだって例外ではない。徐々にすれ始める。

スレてきたらアクションを変えればいい。わざと柱に当てる。ロープに擦り付ける。

躊躇は逆効果。迷わずにリトリーブする。

MARGAYがロープに触れた瞬間、半径30センチの弧を描いてロープからはじかれる。

これがリアクションバイト。

 

ここからが真骨頂だ。スパイラルで船の底に当て続けて食わせた一尾。がまかつのトレブル21。バーブレスにしてもそう滅多にバレないいいフックだ。錆びないやつも作ってくれ。

 

ここまでやれば満足。写真は気持ちよく食わせた魚だけ撮影した。

中には、いや、大半はこちらのアクションに反応せず、食わせきれなかった魚。

そんな魚が足下のピックアップで何かと食ってくる。

僕にはこの魚を釣ったことに対して価値を見いだせない。だって、僕のアクションは全て見切ったやつ。

ピックアップ時に勝手に食ってきただけだ。ピックアップ時にルアーを止めるのはヘビカバの基本だけど、それはアクションとは言わない。

すでに20尾を越えた。もう数はどうでもいいので数えていないけどだいたいそんなもん。

久々にMARGAYのあらゆるテクニックを出し切って2時間ほどでこれだけの数を釣った。

けど、心の疼きは止まらない。

 

いよいよ暗くなってくると魚が浮き出した。MARGAYへの反応が鈍ってくる。そんな魚の変化にも数キャストのタイムラグで追いつく。これが経験だ。

X-80SWにチェンジ。こちらはアングラーがルアーを多彩に操作させることはできない。

せいぜいトゥイッチやジャークだろう。でもX-80SWには通常リトリーブ時に自らワンアクションだけふらつきを出す。

これが最も頻繁に出るスピード。僕で言うミディアムスローリトリーブで誘う。

でも、ストラクチャーの際をX-80SW引けば釣れるってのは、小学生の算数並に簡単だ。

そういうくだらない数釣りをしたわけでもない。すでに解っていることはしない。あくまでテーマを持つこと。

 

 

そしてまたメガバスから次元の違うルアーが登場した。Q-GO。すでにSWモデルの開発も始まっている。

固定重心とその強力なフラッシング。そしてそのシャローレンジのキープ力。

ストラクチャーからわざと離して誘う。もう夕マヅメだ。やる気があるなら出てこい。

心の中のつぶやきに応えた一尾。

 

いよいよ暗い。暗いからますますストラクチャーから離れて動き出した。何もないシャローから出た一尾。

 

シャローの波打ち際はゴミだらけ。そのゴミの中を泳ぐQ-GOに飛びついた一尾

 

同じところを引いたらまた飛びついてきた。

 

暗くなったのでポイントを移動。前のシャローと同じ向きのちょいシャロー。

見た目はシャローじゃないが、岸壁の下はシャローなのだ。

 

 

Z-RAY、クエイクのデッドスロー。3月に大活躍でしばらく使わなかったが、ここはと思ってセット。

1投目、ド派手に水柱が上がった。

 

なみなみと風が当たっている岸壁の下、そこに橋明かりの明暗部が絡む。

絡み合う複合要素はランカーゲットの必須条件だ。

何かを期待してのリトリーブ。水面が揺れる。ひときわ重い感触だったが62センチ。

 

 

2歳魚。ただいま湾奥で大回遊中の3歳魚を支えるのが2歳魚だ。思った以上にこいつらも数が多い。

2年続きの大量孵化。今年は本当に数釣り年になるはずだ。釣りたいやつは釣ればいいけど、なるべくいい形で逃がしてくれ。それが数年後に実を結ぶ。

 

Z-RAY、久々に使ったが釣れすぎて面白くない。

しかし、あなたが初中級者の段階ならば、このルアーのテクニカルスキルを学ばせる類い希な能力はぜひ使ってもらいたいところだ。こればかりはどう書いても説明できない。要するに表層の釣りを覚えるのに最適ということは、このルアーを使っているうちはわからないだろう。でも、このルアーから他の表層系ルアーに変えた時にその理由が何となく判るかもしれない。もったいぶってんじゃなくて、そういうもんなのだ。

ちなみに値段はそんな対象者にとっては全く最適ではない。ハンドメイドの宿命ではあるだろうけど。

しかし、僕も仲間も買い占める。

 

 

 

 

で、その他の表層系と使い比べてみる。多くは書かないがこういう時に色々とインプレをやるのだ。

 

 

 

ちなみに、今日はナイロンラインを使っている。これもインプレ。PEだ、感度だ、などと能書きを垂れる以上、他の素材ラインも徹底的に使って理解し、それを常に忘れないように努力しないといけない。それは竿もリールも同じ事。それがプロってもんだ。

この時点で28〜30尾ぐらい。もし、今日が本気のPEだったらその数字がどうなるか。

両方のラインを理解していれば自ずと答えは出てくる。おそらく同じ数。但し、魚は変わっていたはずだ。

 

 

その中でもう1ヶ所。またもや岸壁の明暗部。

時合を読み、風を読み、潮の流れを読んで、ルアーをセレクトする。

アプローチ、キャスト、サミング、リトリーブ、全てのタイミングを合わせてランカーを狙い撃つ。

絡み合う要素。

要素の交差点にやはりランカーはいた。

Z-RAYクエイクのイブランのデッドスロー。明るい側でじっくりと見せて暗い側に差し込む。

その前に我慢しきれずにこいつは食ってきた。まるまる太った80UPに満足。

 

 

 

ああ、単なる釣り自慢になっちまった。

血だらけになった指の傷が久々に朝のシャワーで疼いた。

 

でもね、たまにはさ。ここまでの次元があることも知っておいた方がいいと思った。

僕は全然目標にされるようなアングラーではないと自分で思うんだけど、そういう物好きも中にはいるようだし。

ここから発展していく川の釣りやボートの釣りってのがどんなもんかってのを想像してほしかっただけ。

それは数釣りなんかより、もっとエキサイティングで確信を持った釣りなんだ。

 

 

 

 

 

使用タックル
ロッド Palms SGP-86L
メガバス Destroyer F3-610XS
リール シマノ ステラ4000 DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ ティムコ ベイスラッグ
ソルティバディ
メガバス X-80SW
   

 

 

 




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