村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area5 - Stage13 〜 見守るのも愛だよな? 〜

2004年11月12日 港湾部シーバス

 

 

夕刻に和歌山を出て、集中工事をやっている東名を避けて中央道をすっ飛ばして東京に帰る。

下げ止まりにポイントへ。

今日は大潮で潮がどーんと引くから入りたかったウェーディングポイントがあったのだが、時合に間に合わなかった。

なんで上げ勝負狙いで隅田川の水が支配する港湾部へと入る。

落ちを意識しだしたシーバスが通過の際に一時的にたまる地点である。

 

 

ポイントは薄明かりが照らして水面は鏡のよう。

ほんとなら北風がきつめに当たっていた方が魚の向きが定まっていていいのだが、これはこれで暖かくていい夜だ。

 

さっそく攻める。

CD7をまずは岸際ギリギリにキャストして、ロッドを立ててデッドスローで引く。

1投目にバイト。セイゴっぽい感じ。あまりいいサイズはいないようだ。

2投目にクンと乗る。

むむむ、小さい・・・。

 

40cmほど。黒いし、今年は落ちが遅そうだ。

 

ベイトのイワシを吐き出した。

まだ食べたばかりという感じのイワシを見て、魚の寄りを確認する。

岸際を何投か攻めたが、反応がないのでやる気スティックに変える。

 

 

やる気スティックは一見するとバチ抜け用に見えるかもしれないが、実はそうではない。

オールシーズン通して戦うためのプラグである。

やる気スティックには驚異的なアクションコンセプトを搭載した。

 

 

 

 

 

あの小川健太郎を遙かに凌駕する

生態学の権威、Dr.ワーガーから導き出された

魚食性魚類の食欲中枢を刺激するという、

モチベーションアップコントロールアクション

(略してMUCA)

を搭載したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

もちろんうそです。

 

 

 

 

そんな屁理屈はない。

けど、港湾部の明かりの中でベイトを目視して食っている連中は、

とあるアクションにてんで弱いということはよくわかってるんで、

その辺を追求してみたモデルなんである。

ま、そんな程度のもんだが、はたしていかに。

 

 

 

沖目に投げてデッドスローで誘ってみるとバイトの嵐。

シングルフックなのでなかなか乗ってくれない。

何度かのバイトの後にようやくヒット。

 


見た目はやる気ね〜って感じ?

 

 

 

検証のためもあるので、他のミノーに変えながら攻めていく。

アスリートS7はレンジさえ合わせれば爆釣パターンにはめ込めるほどバイトが出た。

このレンジ合わせるってのが、大変だしめんどくさいんだよね。

魚に泳いできてもらった方がはるかに効率いいのにね(笑)

 

 

 

岸際の明暗でしきりにぎらぎら光っているので、エスフォー9でバタバタとアクションさせながら通したらいいサイズがヒット。

 

 

 

 

その後も、同じ明暗のラインから何度もシーバスが水面を割る。

 

 

やる気スティックはボートですでに百尾以上は掛けてアクションセッティングは出ている。

あとは足場の高い場所の姿勢や、飛距離とアキュラシーを作り込むだけ。

ここからが難しいのだけど。

 

 

 

 

 

こんな感じで20本ぐらい釣っただろうか。

ポイントの1番奥まで進んで僕は思わず目を疑った。

 

 

 

先端に人がいるのである。

いや、人がいるのは少し前から気づいていた。

釣り人とばかり思っていたが、近くで見たらそうではなかった。

女性が泣いているのである。

 

 

なんでこんなところに????

 

 

 

理由はどうあれ、ここは若い女性が一人でいていい場所ではない。

不良も来ないほどへんぴな場所だけど、何があるかわからない。

どうしようか悩む。

声を掛けようかとも思ったが、それなりの事情があるから、こんなとこに来てるんだろうと思うと、どうもそれもはばかる。

かといって見ぬふりして帰るのはできないし。

 

 

 

 

 

なので、何となくの距離感をおいてしばらくはシーバスをやって、様子を見ててあげることにした。

 

魚からの反応は出そうな感じではないが、こういう展開なら仕方がない。

3分カウントダウンしてそこからデッドスロー、とか普段思いついてもあまりやり込まないパターンをやり込んでみる。

 

 

 


おもしろいもんで、ちゃんとヒットするんですね。

 

何回かヒットしたが、以後はバラしてしまう。

 

 

 

30分経ったけど彼女が帰る様子はない。

どうしたもんか・・・。

 

 

放っておくわけにもいかないので、危ないから帰った方がいいですよ、とだけ声を掛けて帰ろうかと思って近寄っていくが、

やっぱり泣いている見ず知らずの女性に声を掛けるなんてことは、なかなかできるもんではない。

子供とかおじいさんならいいんだけど、自分みたいな30歳前後ってのは現役なのでまた色々警戒されるんじゃないかとか、色々と考えてしまうのだ。

 

 

 

さらに事態はまずい方向に転がる。

後方から二人組のシーバサーがやって来た。

途中のめぼしいポイントをいっさい攻めずに、確実に先端部を目指してこっちに向かって歩いてくる。

 

 

 

 

どうしようか。

先端で女性が泣いているから、行かない方がいいですよ、と忠告すべきかと考えたが、彼らが善人である保証はない。

ますます帰るに帰れない展開に開き直った。

 

 

彼女と自分が絶妙な距離感を保つことにより、カップルに思わせることにしたのだ。

設定は当然、ケンカしたカップルである。

彼女が泣いている32m横で、何となくふてくされチックなポーズで釣りをする。

 

 

 

二人組が自分の存在に気づいて、足を止める。

手前で立ち止まってキャストを始めてくれた。

とりあえず彼女から気をそらす展開になっていて、なんとなく落ち着きどころのある形。

このまま彼らが帰るまでここで先端への道をガードしていればまあ悪い方向には行かないだろう。

 

 

 

 

しかし、ヒット。

魚にも間の悪いやつっているもんである。

 

 

 

一人が先端部の誘惑に負けて僕の後ろを無言で通り抜けていく。

無言で通り抜ける距離感じゃない場所を無言で通るマナーに欠ける輩。

だけに、この後どうなるのか予想できない。

 

 

 

釣りをやめて様子を見ていたら、釣り人は先端の女性の存在に気がついた。

泣いている姿に驚いて、振り返って僕を見る。

いや、俺関係ないのよ、ほんと。

 

 

というわけにもいかないので、僕はキャストをやめて心配そうに立っていた。

 

 

 

 

釣り人は先端でキャストし始めたが、間の悪さに耐えきれなくなったのか、1投しただけで戻ってきた。

肩越しになんとなく興味津々な目線を注がれているのがわかるのである。

速攻で仲間に声を掛けてひそひそ話をしている。

わかるよ、きっと俺もそうするだろうさ。でも違うんだ。

 

 

 

彼女も釣り人の存在に気がついたらしい。泣くのをやめてやおら立ち上がって帰りだした。

僕の後ろを鼻水をすすりながら歩いていく。

肩越しに見たら30半ばの人に見えた。

ちっと残念だったのは、何かを期待していたから?

 

 

 

僕もこれ以上釣り場にいる理由はない。

彼女がどこから来たのかわからないけど、とりあえず安心できる場所に出るまでは見守っていてやろう、と。

ぴったり後ろついて行くと僕に警戒するだろうから、これまた絶妙な距離感を保って後ろをついて行く。 (38.6mほどか)

 

 

だけど、この距離が

いかにもカップルのケンカで彼女を泣かしちゃって、

怒って帰る彼女を放っておくわけにもいかず、ついて行くしかないという男

のひじょーに情けない距離感と極めて近いなのだ。

 

 

 

案の定、二人組からは好奇心まんまんの熱視線を全身に浴びせられる。

なるべく離れて顔を伏せて歩いていく。

 

これで、「あ、?村岡さんですか?」とか言われたらきっと恥ずかしさで即死しただろう。

 

 

しかし、何事もなく終了。

彼女が道路に戻ったところを確認して、僕もタックルをたたんだ。

疲れた日でした。

 

 

使用タックル
ロッド アピア 風神ゼータ72Mクロスインパクト
リール ダイワ セルテート3000
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ やる気スティック
CD7
アスリート7S
ゴミ もらい損の恥と引き換えの愛

 

 



 

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